銭湯いこに Vol.03「白塚・旭湯」後編

投稿日: 2010年09月22日(水)03:58

「サルシカ隊、銭湯へいく~白塚・旭湯編」もついに後編。
3回にしてようやく完結なのだ。

もう旭湯に入っちゃたのになぜ今回に続くのか。
それは他の銭湯にも行っちゃったからである。
勢いづいたオッサンたちのエネルギーはすさまじいのだ。

事前連絡とかアポイントとかそんなの全然関係ないのである。
ガラリと戸をあけて、「ごめんくださーい!」からスタートなのである(笑)。

旭湯でひとっ風呂浴びて、もうすっかりゴキゲンのオッサンたちは、またもや白塚の町を歩く。
まだ午後4時過ぎ。
いくらなんでも宴会には早過ぎるってことで、引き続き白塚探索なのだ。

しかし、水分は一切補給してはいけない。
5時過ぎには生ビールなのだ。
喉がカラカラヒリヒリになろうともここはぐっと我慢なのだ!

さくら湯さん。
すっかり看板の文字が消えているが、まだ営業を続けている。
旭湯から歩いて5分程度であろうか。
そんな距離に銭湯が複数軒あるのがすごいことなのだ。

最初は外観だけでも記録すればいいか、と思っていたが、せっかくここまで来たのだ。
ダメもとでアタック・・・ってことで、いきなり突入。
まだ営業時間前で、奥様がひとりで準備をされていた。

「あのぉ・・・・ワタクシたちサルシカ隊と申しまして全然怪しいものではないのですが、あのその、三重県の銭湯を取材していて、えっとその、全然変態とか覗きとかじゃなくて、つまりその、お風呂の写真を撮らせてもらえませんか?」

いかにも怪しげな風体のオッサンが6人。
カメラを担ぎ、濡れたタオルを頭に巻き、それぞれムホホと笑っている。
これじゃあ、怪しむなというほうがムリな話だ(笑)。

しかし、さくら湯の奥様は非常に心優しく、心広く、そして美人(!)なかたで、
ワレワレを招き入れてくれたのである。

唐突に奥様に取材をするサルシカ隊の面々。
ちなみにみんながいるところは、女風呂の脱衣場。

こちらは男湯の風呂場。
タイルの画が、桃太郎の鬼退治。
なかなか立派なものです。

こちらは女風呂。
タイルの画が違います。
動物たちの微笑ましい画です。

ここも昭和がチクタクと時を刻んでいるようだ。

番台は正しく風呂場のほうを向いてます。
隊長が喜んで頭にかぶっているのは女性用のドライヤー。
体のでっかい隊長が入るのは一苦労。
でも入ります。
で、笑います。
バカです(笑)。

さすがにさっき旭湯で入ったばかりなのでお風呂は遠慮させていただいて。
またフラフラ白塚を歩く。

と、旭湯にいくまえに見かけた「白玉湯」のことを思い出す。
2年前に営業をやめた、と3軒となりの和菓子屋「前田屋」さんのご主人が言っていた。

あ、そうだそうだ、ご近所ならば前田屋さんに声をかけてもらおう、と厚かましくもまたお店に戻る。
すると、ご主人はわざわざ白玉湯さんをワレワレといっしょに訪ねてくれ、取材交渉をしてくれたのだ。
いやー、本当にありがとうございました、前田屋さん!!
この場を借りて、改めて感謝いたします。

半ば解体された白玉湯さんを見学させてもらった。

「祭りのあとにはさ、必ずここのお風呂に入れてもらったんさ、サービスでね・・・・それがこんなふうに・・・・」

いっしょに中に入った前田屋のご主人は言葉を失った。
子供のときから通ったお風呂だったという。

湯けむりがあがらない風呂場は、音が響かない。
湯をかける音、流れる音がしないと、空気すら止まっているように思える。

いま三重県からすさまじい勢いで銭湯が消えつつある。
この7月から「サルシカ隊がいく」で三重県の銭湯の取材を開始したのだが、そのわずか2ヶ月ちょっとの間に、2軒の銭湯が火を落としたと聞いた。

「風呂をやめようと決めたときは本当につらかった。毎日のように来てくれるお客さんに、あともうちょっとだけでも続けてくれ、と頼まれてなあ、なんとか続けたいと思ったけれども・・・・」

「なんとかできるとこまでがんばろと思ったけど建物が老朽化しとってなあ・・・、建てなおす金もないし、借りても回収の目処がたたんしなあ・・・・それで申し訳ないけどワシが80歳になった2年前にやめたんや・・・・」

もうあちこちガタガタでひどいもんやさあ・・・・そう言って風呂場の方に目をやったお父さんの目。
寂しそうとかそういうのじゃなく、サバサバと笑っていた。
しかしそれが印象的で深く深くこころに残った。

カコーン・・・・・・・。

「サルシカ隊、銭湯にいく②白塚・旭湯」後編・・・・おわり。