「サルシカ隊、マツタケ狩りにいく!」 第115回 サルシカ隊がいく

投稿日: 2010年10月19日(火)15:13

むふふふ。
サルシカ隊は、ついに禁断の領域へと足を踏み入れるのである。
そう、
「マツタケ狩り」・・・・・。
この妬みと恨みにまみれた、欲望と絶望の世界へと突入してしまうのである。

「隊長、そろそろキノコ狩りにいこかあ」
と、悪魔のお誘いをしてくれたのは、M子が愛してやまない割烹「やまき」の大将である。

それともうひとり、やまきの常連客で、とある会社を経営している「しゃちょー」さんが参加。
なんと(上の写真左から)しゃちょー、たいちょー、たいしょー、という何やら名前だけは立派な3人が、アフーンな欲望の世界へと突き進むのである。
しかしながら、平均年齢なんと56.6歳!!(笑)
これまでになく高齢なサルシカ隊なのである!!!

果たして、
山のダイアモンド、マツタケは見つかるのであろうか!?
おっさんたちの万歳三唱がやまびことなって山々に響き渡るのであろうか・・・!?

キノコ狩りの朝は早い。
ワタクシ隊長宅での待ち合わせ時間、なんと朝5時。
ワタクシ隊長は、緊張に包まれつつ、4時には起床し、シャワーで体を清め、パンとコーヒーで軽く朝食をとり、大将たちの到着を待っていたのである。
しかし、待てど暮らせど大将はこない。

「ん? どしたどした? なにかあったのであるか・・・?」

と、不安になったところで、携帯が鳴る。
大将からだ。
出てみると、それは大将ではなく、やまきのおかあちゃんであった。

「ごめんなさい!夫婦そろって寝坊しました!いまお父さんは大急ぎで準備してるので、あと30分待ってください、ごめんなさいごめんなさい!」

おおおおおおお、鮎釣りと山遊びに人生のすべてをかける「やまき」の大将が寝坊・・・・。
電話の向こうで、慌てまくっている大将の声が聞こえる。
まあ、こんなこともあるんやねぇ・・・と笑いつつ電話を切り、それから30分後。
大将、到着。

いつもはすました笑顔だが、さすがに今日はダハハハ笑いをしている。

「いやいや、こんなこと初めてや~、山や川に遊びにいくのに寝坊なんてこれまでしたことなったのにな~、いやあ申し訳ない、だはははは」

そう言いつつも、慌てすぎて息がハアハアとあがっている大将なのであった(笑)。

まあ、そんなことがあって、大将の車でいざ出発!
どこに向かったのかは・・・残念ながら書けない。
そこは、大将と社長が毎年通う大切な山なのだ。
三重県内・・・津市近郊としておこう。
(もしわかったとしても、コメント等で書かないようにお願いします!)

農道から林道に入り、動物よけのネットをくぐり、たどり着いたのは、朝もや煙る山の中。
あたりは杉やヒノキは1本もなく、クヌギ等の雑木、そして松が目立つ。

広葉樹の山は地面に葉が落ちてふかふかのベッドのようになり、そこにさまざまな生物たちが宿る。
いま「COP10」が愛知県で開催中で、生物多様性の重要性が叫ばれているが、ここにはその多様性がある。

この山は、社長と大将が、20年以上通ってきたところである。
どこに何があるか、本当に知り尽くしている。

「すどおし(アミタケ)やクリタケがあがるんは、大体このへんやけど・・・・あらへんかあ?」

すると、ワタクシのすぐ足元で、クリタケが見つかるのである。
ちょっと長け気味であるが、充分おいしく食べられるという。

クリタケは非常にもろいキノコなので、柄の下に指を入れ、ワイングラスを持つようにそっと持ち上げる。
そのとき、少しだけ左右に揺すると、根元からすっぽりとキレイに抜けるのである。

うひゃうひゃ言いながらクリタケを採取していると、
「おーい隊長、出たでぇ!」と大将の声。

すわ、クマかイノシシか、と思ったら、なんとマ、マ、マ、マ、マ、マツタケを発見したという!!!

まだ山に入って5分足らずである。
にもかかわらず、マツタケを発見してしまっていいのであるか!!

ワタクシも社長も慌てて大将のところに駆けよる。

「ホレ隊長、ここや」と、大将が地面を指差す。
が、どこかわからない。
「え、どこ?」
「ホレここや、ここ!」
「だからどこ!?」
「ここやって!!」

たぶんワタクシには一生マツタケを見つけることはできない(涙)。

マツタケは、松の木の生えた岩の下にあった。
小さな頭だけ土から覗かせている。

マツタケを採ってニコニコの大将。
朝の寝坊の不名誉は、もはやこれですっかり挽回されたのであった。

マツタケは2本あった。
土から掘り出しただけで、あの香りが漂う。

「いや~、しかしこんなに早くマツタケがおるとは、さい先がええなあ、今日は採れるでえ、マツタケいっぱいのすき焼き食べれるでぇ」

威勢のいいことを言う大将。
ワタクシも、普段お世話になっているところに配っちゃったりして、もう感謝されまくりで、むふふ、などとどんどん妄想が大きくなっていくのであった。

巨体の社長は、すどおし(アミタケ)狙い。
小学生のお孫さんが大好きとのことで、大量ゲットをもくろむが、すどおしの姿があまりない。

「おかしいなあ、先週はもう採りきれやんぐらいあったのに、もうあらへん・・・・」

隊長が子どもの頃、すどおしと言ったら、めずらしくともなんともないキノコだった。
秋になるとかならず味噌汁や鍋に入って出てきたが、「あああまたか」と思うようなキノコだった。

その大衆的ともいえる、すどおしまでもが、年々採れなくなっているという。

これがすどおし(アミタケ)である。
裏が網状になっていて、火を通すとなめこのようにヌルヌルねばる。
香りと食感を楽しむキノコだ。

ないない、と言いつつも、買い物袋に3つ程度は余裕で採った。

ないのは、やはりマツタケである。
最初の5分で見つけたが、そのあとはまーったく見つからない。

山の中のポイントを何カ所もまわるが、ひとつもない。
あるのは、おっさんたちの汗とため息ばかりだ・・・(笑)。

マツタケがない最大の理由。
それはマツクイ虫による松枯れである。
松がなくなれば、マツタケも育たないのだ。

20年前、30年前は、一度山に入ると、20本から30本のマツタケを採ったと、大将も社長もいう。
1シーズンでなんと400本以上のマツタケを採ったこともあるという。

山が豊かだったのだ。
いや、バランスがよかったのだ。
松だけが枯れたり、イノシシが異常に多くなったり、いま山のバランスが崩れてきているのだ。

「そっちおるか?」
「おらん。そっちはどうや?」

大将と社長は、キノコのことをまるで生き物のように「おるおらん」という。

ワタクシが「まるでキノコが動くみたいに言いますね」と笑うと、
大将と社長は「そう、動くんやで」と真顔で答える。

まさか足でも生えてひょこひょこ動くと言い出すのかと思ったら、違った。
キノコは毎年生えるところが少しずつ移動するらしい。
円を描くように動くものもいるらしい。
だから、キノコは動くのだ。

あちこちの山を点々としているうちに、クリタケの群生を発見。
もう一面クリタケだらけだ。

ワタクシはもう狂ったように「ワハハハハ」と笑いつつ、クリタケを採る。
「おい隊長、変なキノコ食べたか?」
大将はマジで心配そうにワタクシを見るのであった(笑)。

他にも採ったのは、ハツタケ。
白いキノコだが、裏に銅のサビのような緑色の部分がある。
見た感じは完全に「毒キノコ」であるが、食べられるという。
香りがよく、炊き込みご飯にするといいという。

では、ここいらで、食べれるかどーかわからないが、目についたキノコを一気に紹介しよう。
もし知っているものとかあったらコメントでお知らせ願いたい。

上の2つはいかにも食べられそうでしょう?
大将と社長に聞いたら、
「たぶん食べられると思うが、怪しいのはパスするのがキノコの鉄則」だという。
うーむ、確かに!

左は「せんべいだけ」、右は「チンコだけ」・・・ワタクシが勝手に名づけました(笑)。

地域によって食べるキノコ、食べないキノコはずいぶん違うらしい。
岐阜ではあまりアミタケは食べないらしい。
岐阜の人といっしょに山に入ったとき、アミタケを採っているのを見て「そんなん食べるんんか!」と驚かれたこともあるという。

お昼ごはんは、大将特製おにぎりと秋田のいぶりがっこ。
お昼からやまきのメシが食べられるなんて、なんという幸せ!!
ああ、ビールが欲しい、と心から願うのであった(笑)。

食後はデザートってことで、天然のキウイフルーツをもぎとる。
ウソです(笑)。

実はこのキウイは昔栽培されていたのが放置され、なかば野生化しているもの。
毎年、結構実をつけるらしい。
ワタクシも数個いただいてきました。

あと、今回見つけた、おもしろ系を紹介。
左はキツネの穴。
たぶんこれは空き家のようでした(笑)。

右はキジのつがい。
三重県には、まだまだ自然が残されているようですね。

午後も少しがんばって家に戻ってきました。
軽トラの荷台にどかーんとあけてみたのが、この状態。
どーです、すごい量でしょう!!!

比率でいうと、
クリタケ75%、すどおし20%、ハツタケ4.9%、マツタケ0.1%・・・・つまり最初に採った2本のみ!!!!
あ、あとおまけでキウイフルーツ。

そしてなんと、マツタケは、大将と社長がワタクシにプレゼントしてくれましたあ!!
ありがとう、大将、社長、そして三重の自然なのだ!!

クリタケはすき焼きで食べるのが一番うまい、ということだったので、さっそく朝日屋へ直行!
国産和牛のすき焼き肉を買ってきました。

そしてクリタケ、マツタケを投入していただきましたあ!!
クリタケの歯ごたえ、マツタケの香り、もう最高でございましたに!!

そしてアミタケは軽くゆがいて大根おろしでいただきました。
こちらもヌルヌルでうまし!!

こうしてこの秋最大の幸せイベントは終了したのでした。
ごちそうさまでした。