銭湯いこに Vol.05「松阪・春日温泉」後編

投稿日: 2010年11月10日(水)13:25

松阪けいりんのすぐそばにある春日温泉。
そこは常連客の人情と情熱に支えられた、まさに「人情銭湯」であった。

いよいよその真髄、アツイ湯へと入っていくのだ(笑)。

前編で、春日温泉には大きな屋根があると書いたが、これは雨に濡れないためだけではないらしい。
なんとこちらは「ヒ-トポンプを導入した公衆浴場」なのだ!
大きな屋根の上に蓄熱する板がはられていて、その熱を利用して燃料の節約をしているのだ。
近代的なのだ。

しかも湯が噴出するところは、車のホイールが代用されている。
まさにここは、「人情エコ銭湯」なのである!(笑)。

女風呂はさすがにお客さんがいると取材できないので、営業前に撮影。
脱衣場はゆったりと落ち着く広さ。
今はほとんど使われていないというが、ベビーベッドも用意されている。
カゴやオケなどがピンクで揃えられているのが、なんだか微笑ましい。

そしてオッサンたちが入っているピンクの小屋みたいなのがサウナ。
なんと脱衣所から覗けるのだ。
このサウナを楽しみに通っているお客さんも多いらしい。

番台は昔ながらの、きっちりと正しく脱衣所を向いた方式。
女風呂には年代物のドライヤーも残っていた。

さあさあ、みんなで湯に入ろう。
けいりん場で冷え切った体がピリピリと痛い。

「くひ~」とそれぞれにうめきつつ入る。

ああ、幸せなのだ。
もうケイリンで負けたことなど、はるか彼方の話なのだ。
いいのだ、いいのだ、人生これでいいのだ。

すっかり温まって風呂からあがると、営業がはじまっていて、おかみさんの吉村きみこさんが番台に座っていた。
常連のお客さんと笑っている。

春日温泉さんの創業は昭和31年。
吉村さんのご主人のお父さん(つまりおじいちゃん)が創業。
きみこさんは昭和40年にここに嫁いできて、以来45年、この番台に座ってきた。

「実はねぇ、おととい釜のレンガとサウナが壊れてねぇ・・・・
お風呂とサウナを楽しみにしてる人がおるからもうどうしようと思っとったんやけど、事情を話したら、業者さんが飛んできてくれてね~、もう今日から使えるの。
ホントにねぇ、ここはみんなに支えられて続けとるんよ~」

そんな話をしてくれている最中、女風呂の方から、「電気ついてへんよ~」の声。
「あ、忘れとったわ!」と、きみこさんは番台を飛び出していく。
なんだか本当に微笑ましい。

今は壊れて動かないゲーム機がテーブルとして使われていた。

「このゲームが入ったときは楽しくてねぇ・・・・。お風呂の営業が終わってからここでひとりで遊んでたら、お父さんにナニやっとるんや~って怒られてねぇ」

この銭湯のひとつひとつに、きみこさんの思い出が詰まっている。

そしてこのきみこさんのお風呂を支えているのが、ご近所の常連さんたち。
まさに人情の銭湯なのだ。

なんと廃材を割り、釜番をしているのは常連のお客さん。

「風呂に入る前にさ、ちょっと汗かいたら気持ちええしさ、それに女の人が重い木を持ったりするの大変やろぉ」

その常連客・山路さんは恥ずかしそうに笑う。
山路さんはほぼ毎日のように、こうして薪を用意し、釜入れしているという。

イヤがる山路さんを無理やり引っ張ってきて、きみこさんと記念撮影。

「みなさんには本当に助けられてます。もうずっと昔から通ってもらって、そして今は手伝ってもろて・・・」

「雑誌もみんなお客さんが、もう読んだからって持ってきてくれるし、ちょっと何かが壊れたら、みんなお客さんがまかしときって直してくれて・・・」

東映の映画俳優だった、という島本さんも、何十年来の常連さん。
この人もいろいろとお手伝いをしてくれるらしい。
なぜ、と問うたら、

「そりゃあ、きみこさんがベッピンやからやあ。ホンマに昔は美人やった。はじめて番台にたった頃、もう近所でも有名やったでな~。
オレぁこの通り色男やろぉ、そやでようチンチン見せにきたったあ」

「おい、もうすぐ水戸黄門はじまるで!」
おいちゃんたちはみんなで、番台の上にあるテレビに向かう。
水戸黄門の再放送をここでみんなで見るのが楽しみだという。
しかし、そのテレビの下にはきみこさんがいる。
みんなきみこさんを眺め、きみこさんと語らい、きみこさんと笑って楽しんでいるのだ。

昭和から続く人情の世界がここにはあった。

ここまでええ話をしておきなら、やることをやらねば終わらないのがサルシカ隊である。
隊長はここでもムリをいって番台に座らせてもらいご満悦。
そして、恒例の体重測定。

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あの~、総計すると、みなさん体重増えてますけど~。
全然ダメダメなんですけど~。

と言いつつ、すっかり喉を乾かして夕暮れの松阪の町へと出発するサルシカ隊なのであった(笑)。

ここでもう一度、春日温泉さんの情報を。

春日温泉
住所:三重県松阪市春日町3丁目80
電話:0598-21-0568
営業:15:30~23:00
休み:毎週水曜日
備考:12回の入浴で1回無料のサービスあり(現金のお客さんに限る)

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さーて、喉をカラカラにしたまま、松阪駅方面へとトボトボ。
松阪ですよ!
もうこれはアレしかありませんよ!!
松阪ホルモン!!

というわけで、やってきたのが、こちら!

松阪駅前の路地を入ったところにある焼肉料理ホルモン焼きの「横綱」。
営業はかなり気まぐれで、おばちゃんがもう宣伝せんといて~、というので、情報はこれぐらいで(笑)。

しかしホルモンがうまいのなんのって!
しかも、タイミングがよくないと巡り会えない生キモが最高!!
もうビールが止まりません!
やみくもに食べて飲んで、6時すぎには「もう今日は終わった~!」みたいな感じに(笑)。

が、そこにウッディ山本が仕事を終えて合流。
彼は、この春に松阪で行われたプレ銭湯企画の際、松阪駅でワタクシたち一行と遭遇。
「サルシカ隊のみなさんですね!」と声をかけたのが運のつきで、今戻ってきたばかりの津まで強引に連れ戻され、サルシカ流宴会を体験させられた男なのである。

再びコンロに火が入り、ホルモン宴会がはじまるのだ~。

そして横綱のおばちゃん、写真師マツバラも入って記念撮影。
ちなみにこれは、たまたま居合わせたお客さんに撮影してもらいました。
どもありがとうです!!

もう十分に食べて飲んだにもかかわらず、終わらないのがワタクシたちである。
夜の愛宕町を徘徊し、そして腹ごなしにもう1軒銭湯へ(笑)。

そして用事を終えてようやく合流したイワワッキーも含め、2軒目のお店でカンパーイ!
しかし、もうこの時点で胃袋限界、体もズルズルヨレヨレで、11時すぎで情けなくお開きとなったのであった・・・。

次回は、12月。
伊賀から特別版をお送りする予定です。
お楽しみに!

参考リンク:ケロリンの「いこに!三重県の銭湯!」