「サルシカ隊、筏レースに出る⑨」第137回サルシカ隊がいく

投稿日: 2011年08月10日(水)10:49

いよいよファイナルなのだ!
涙と感動の決勝なのだ!
そして「いかだレース」の完結篇なのだ!

ペットボトルのサルシカ3号、ママさんチームのサルシカ2号は予選で敗退。
が、総予算5万円で作った本格的いかだサルシカ1号は、予選1位で突破し、
見事決勝へと勝ち進んだのだ!!

この決勝で見事1位を飾れば、優勝賞金10万円を獲得!
いかだ代の5万円を差し引いても、今晩はこの紀北町で大宴会ができる。

惜しくも2位だとしても5万円。
まあ、これだと差し引きゼロだが、宴会はできる。

3位だったら2万円。
くやしいけれど、涙を飲んで宴会する。

まあ、つまり終われば絶対に飲むのだ(笑)。

いつになく緊張した面持ちでいかだをスタートラインへと進めるサルシカ1号のメンバーたち。

先頭から、いかだの設計も担当した、よしひろ隊員。
若き木こり、やっさん隊員。
骨太ナンバーワン、たかし隊員。
誰より気合で勝負、のだっち隊員(リーダー)。

決勝を戦うのは5チーム。
我々以外はみな、地元のチームである。
しかも何度も出場している感じ。
完全アウェイの戦いだ。

コースは予選のタイムで決められる。
早いチームから好きな場所を決められる。
我らサルシカ隊のタイムは4位。

うーん、微妙なのだ。
たまたま予選は勝てたが、やはり強者たちがいたのだ。

あとは気合で勝負しかないのだ。

決勝スタートの前に、それぞれのチーム名が読み上げられる。

「サルシカ1号」

うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!
サルシカ隊の他の面々が魚市場スタンドから応援のうなり声をあげる。
漕ぐのも気合いだが、応援も気合なのだ。

アウェイのはずなのに、我われサルシカ隊が大声で声援を送るので、
まわりもつられて拍手歓声を送ってくれる。
きっと紀北町のみなさんは、すごく著名な団体がやってきたと思っていたに違いない(笑)。

しかし上の写真をよくよく見てみると、

「はいよ~、とうちゃん、ちょっとそこまで買い物にいってくるよ~」

みたいな応え方で、ぜんぜん気合が入っていないのだ(笑)。

が・・・・。
時はきた!!

あたりが静まり、岸にちゃぷちゃぷと打ちつける波の音だけになる。
風の音だけになる。

プワ~~~ン!!

ホイッスルと同時に、ザザザザと水をかく音、そして男たちの激しい息遣いが聞こえる。
5艇が一斉に海を滑る。
一番アウトのサルシカ1号はあまり見えない。

が、80メートルのブイの半分ぐらいまで来たところで、サルシカ1号の存在がわかるようになる。
残念ながら遅れている。
1番目、2番目が早い。
どんどん他の3挺を引き離していく。

サルシカは4番手。
3番手とは1メートルも差がない。
が、5番手との差もそれぐらい。

ブイをターン。
1位、2位にはどんどんと引き離されていく。

が、3位との差はまだ少し!!

「よっしゃあ!」
「うりゃあ!」
「よっしゃあ!」
「うりゃあ!」

リーダーののだっち隊員の怒鳴り声と、
先頭のよしひろ隊員が応える怒鳴り声が聞こえてくる。

「いけええええええええええええええええ!!」
「サルシカぁああああああああ!!」

サルシカ隊の他のチームも、応援団も、子どもたちも、叫びまくる。
こんなに声を張り上げたのは久しぶりだ。

応援の圧力で少しでも4人の背中を押してやりたい!!
子どもたちは泣き叫ばんばかりだった。
それほど無心に、力のかぎり、叫び、祈り、応援した。

苦しそうなのがわかる。
乳酸のたまった腕はあがらず、気合のみで漕いでいる。

声援は一気に膨れ上がり、そして花火のように弾けた・・・・。

サルシカ1号は、力及ばず、そのまま4位でゴール。
力尽きたかのように、サルシカののぼりが倒れる。
4人も動けないようだった。

「我われの夏が終わった・・・・」

8月にもなっていないのに、そう思った。

ヨタヨタといかだを片づける。

終わった・・・。
まだそれだけし考えられない。

負けた・・・・。
少しずつくやしさがこみ上げてくる。

しかし、
やり遂げたのだ、という達成感もじわじわとやってくる。

この満足気なおっさんたちの顔を見よ。
まあ、何はともあれ楽しかったのだ。

「みんなでワーとなんか楽しいことをやろう!!」という目標は果たされたのだ。

手づくりいかだの1号と3号。
おまえたちもよくがんばったのだ。

3号はちょっとアテが外れて、大変な思いをしたけれど、まあこれはこれでいい思い出なのだ(笑)。

本当はこの日、近くの宿に泊まり、勝っても負けても宴会をやるつもりだった。
が、この夏祭りの影響もあってか、近くの宿はぜんぜん空いておらず、
我われは仕方なく、また3時間近くかけて津市のお山に帰るしかなかった。

いかだレースの表彰式や、
そのあとの花火などをすべてキャンセルして、紀北町海山区をあとにする。

来年もまた来るぞ。
来年こそ、絶対に優勝するぞ。

もっともっとみんなでこのいかだレースに出場しようではないか。
紀北町を盛り上げようではないか!

ありがとう、紀北町!!
アディオス!(意味なし)

こうして、
サルシカ隊の初の「いかだレース」の挑戦は終わったのであった。

写真:加納準(加納フォト)

協力:吉川自動車
    マルゼン有限会社
三重テレビ放送