カホンという楽器をご存知であろうか。
Wikipediaによると、
カホン(Cajón)・・・ペルー発祥の打楽器(体鳴楽器)の一種。
カホーンとも発音される。
カホンは楽器自体に跨って演奏される箱型のもの(ペルー式と呼ばれる)からコンガのように股に挟んで演奏されるもの(キューバ式と呼ばれる)まで、打面が木製である打楽器全般を指す。
通常ペルー式カホンを指す場合が多い・・・。
とある。
言ってみれば、ただの「木の箱」。
貼りつけたベニアの板を叩いて演奏するだけのものであるが、これが信じられないほど多様な音を出す。
例えばこんなの。
おいおいマジかいな、と思うでしょ。
ただの箱なのに、十分ドラムの代わりになっちゃうのだ。
そんな楽器を「つくろうじゃないか!」と言い出したヤツがいた。
大工のT橋。
三重県津市美里町在住のサルシカ隊員であり、大工である。
彼がT橋。
ご覧のとおり、無骨な男である。
そして無口である。
大工としては一人前であろうが、生き方は不器用な男である。
そんな彼が「カホンをつくるからよかったら来てください、別に無理をしなくていいんで、もし暇だったら・・・自分は不器用なんで・・・モニョモニョ・・・」
と、うつむきつつ言うのである。
そして手書きのチラシを恥ずかしそうに渡すのである。
最初その話を聞いたとき、ワタクシは「おいおい大丈夫か」と思った。
本当に人が来るのかと思った。
が、それはワタクシの杞憂に終わったのだ。
彼の工房は、美里町のお隣、榊原町の山の中にある。
ここで木を乾燥させ、加工させ、作業しているのだ。
その工房で「カホンをつくるワークショップ」をやるのだ。
妻M子と娘m子、そしてm子の友だち2人を連れて彼の工房にくると、もうその前の道から大変なことになっていた。
駐車場に入ろうとする車で渋滞していたのだ。
この榊原町の山中で渋滞するなんて、この土地に人が住みはじめてからはじめてのことであろう(笑)。
しかも、工房へと続く道を入ると、カンカン、トントンと金槌を使う音が響いてくるのである。
しかも大合唱で。
「いったい何が起きているのであるか」
ワタクシは妻M子と顔を見合わせたのである。
普段はT橋と彼の飼い犬とスズメぐらいしかいない工房は、トンデモナイ事態になっていた。
人で溢れかえっていた。
折しもこの日は「里山の工房めぐり」最終日。
人口4000人に満たない美里町に、人口以上の人が押し寄せ、あちこちの工房が人で溢れていた。
その同じ日に、そのイベントを知らなかったT橋は「カホンづくりイベント」を仕掛けたのである。
不器用にもほどがあるのだ(笑)。
が、里山の工房ならぬ山奥の工房にも人はきた。
わんさか、と。
たぶん50人は軽く超えていたのではないだろうか。
T橋の知り合いの職人さんたちが何人も応援に駆けつけていた。
カホンの材料は事前にキット化してあり、トンカチさえあれば基本はつくれるようにしてある。
子どもたちも制作を体験できる。
自分で楽器をつくるなんてなかなか出来ない体験だ。
ステキなことである。
もちろん有料ではあるが、とても手間ヒマがかかっているのである。
浜口さん(写真右)と書道家の伊藤潤一さん(写真左)もスタッフとして活動。
伊藤さんとはT橋を通じて出会い、サルシカのロゴを書いてもらうことになったのである。
伊藤さんはT橋がつくったカホンをもって東北へ行き、演奏し、メッセージを書き、応援を続けている。
お客さんはご近所とか知り合いの人ばかりじゃなかった。
いろんなところから、いろんなジャンルの人が集まっていた。
サルシカ隊からもいろいろなメンバーが。
なんと稲ちゃんが珍しく家族全員で参加(笑)。
そして美杉町からは「人生の楽園」に出演したクリスティーナとチッチが。
やっさんとM子。
なぜか「ふじっこパン」を食べながら、大いに盛り上がっている。
カホンをつくりなさい、と強く言いたい(笑)。
カホンの作り方は・・・
座るので、十分に厚みのある木で枠をつくる。
そしてベニア板を両側に貼る。
片方にはギターのような穴をあけ、叩く方には針金を貼り付ける。
これに鈴を結びつけたりすると、さらにおもしろい音になる。
つくったカホンは、それぞれ着色したり、バーナーで焼きを入れたりと、自由にデコレート。
子どもたちは本当に夢中だった。
書道家の伊藤さんは、要望によって名前やメッセージをカホンに入れる。
この日はボランティア。
娘も友だちもすばらしい名前を書いてもらっていた。
午後1時半からカホンづくりがはじまって、午後5時まえにはほとんどのカホンが出来上がっていた。
そして演奏があちこちがはじまる。
カホンのリズムに合わせてギターの演奏がはじまる。
そして歌がはじまる。
残念ながら子どもたちを送り届けなくてはいけなかったので、
音楽を楽しむことなく、会場をあとにした。
自然に湧き上がったような、まさにソウルフルな音楽を背中で聞きながら会場をあとにする。
今回は子どもたちにカホンを譲ったので、今度はM子とワタクシの分をつくりたいなあ。
あと、今回これなかった友だちを誘いたいなあ。
これはすばらしい企画なのだ。
見事なまでに成功なのだ。
やったのだ、大工のT橋!!
次回も必ず参加するぞ。