銭湯いこにVol.13「2012年は伊勢からスタート!」その1

投稿日: 2012年01月20日(金)23:45


photo/写真師マツバラ(松原豊) txt/サルシカ隊長(奥田裕久)

 

2012年はじめての「銭湯いこに」である。
めでたいのである。
今年もサルシカの銭湯企画をぜひよろしくお願いしたいのである。

さて。
お正月といえば初詣である。
そして三重県において初詣といえば伊勢神宮である。

「よーし、では新年を迎えたばかりの今回は伊勢にいこうではないか!!」

と、いうことになった。

「せっかくだから新年会を兼ねてドーンといこうじゃないか!! せっかくだから宿泊までしちゃおうじゃないか、ワハハハハ!!」

と、勢いでそうなった(笑)。

で、1月12日、木曜日の午前11時半。
いつものメンバーが伊勢市駅まえに集合したのである。

上の写真、右から・・・。
今や「センセー」になってしまったイワワッキー。
某テレビ局のアナウンサー、ボーノー隊員。
三重県を代表する銭湯マニア、ケロリン桶太郎。
ツヨインジャーというご当地キャラのひとりではないかと噂もあるスズキックス。
そしてサルシカ隊の隊長であるワタクシ、奥田と、写真師マツバラの6名である。

ちなみにイワワッキーとボーノーさんは近鉄特急で。
ケロリンはJRの快速で。
スズキックスは単独車で。
ワタクシと写真師は身を縮めつつ軽トラでやってきた。

全員、予定時間より大幅に早く到着。
平日なのに、しかも決して暇な人たちじゃないはずなのに、なぜ銭湯企画となると、こんなにバシバシと5分前行動で集まってしまうのだろうか(笑)。

みんなの名誉のために言っておくが、このサルシカ銭湯取材は一切ノーギャラである。
しかも経費は、銭湯代の380円しか出ない。
あとはメシ代も電車代も呑み代も宿泊費もすべてそれぞれの自腹である。
バカか、と言われれば、うんたぶん、と答えるしかない(笑)。
ま、それだけ銭湯が魅力的なのだ、ということにしておこう。

あ、それとそれと。
なぜかボーノー隊員がブルブルと寒そうにしているが、これは上着を忘れて家を出てきたからである。
駅へ向かう途中で寒さで気づくはずだが、そのまま電車に乗り、みんなと合流してから「寒い!」と気づくのがこの男である(笑)。
気の毒であるが、ボーノー隊員の上着購入に付き合うのもバカバカしいので、ただちに出発!

まずやってきたのは、伊勢市駅から歩いて2分のところにあるゲストハウス「風見荘」。
昨年できたばかりの宿で、なんと宿泊費ひとり2600円!!
今晩のワレワレの宿泊先である。
ケロリンがネットで見つけたのである。

なんともファンキーな外観ではないか(笑)。
一同、すごいな、これは・・・と建物を見上げつつ笑う。

荷物を預かってくれるというのでいきなりオジャマしつつ、さっそく取材。
一同、厚かましくあちこちを見てまわる。
みんなゲストハウスというところが初めてである。
興味津々。
しかも壁にはなんとも味のある画が。

ここは80年以上の歴史を持つ旅館だったところをゲストハウスに改装。
しかもその改装のほとんどをここの運営者とその仲間たちでやったのである。

写真左上/画は階段にも。
写真左下/共同キッチン。ここで調理して各自で食事する。
写真右/浴室。たぶんここは旅館のときのまま。これはこれで雰囲気がある。

女性専用ドミトリー(大部屋)。
各ベッドに専用のコンセントがついているのがいい。
ここでひとり2600円!

こういった個室も用意されている。
シングルで3500円。
ここなら家族でも泊まれるなあ。

まるで旅人のようにフラリと現れたのは、この風見荘の経営者である丸井寛道さん。
地元伊勢出身の32歳。
これまでは音楽活動と旅をしてきた、という。

「エアコンのメンテとか仕事もしてきましたけど、活動のための休みが取れて給料がもらえたら何でもいいって感じで・・・」

それがなぜゲストハウスだったのか。

「ケガで入院してるときにフトひらめいたんですよ。伊勢ってこんなにお客さんがくる場所なのにゲストハウスがひとつもないなあ。やったら流行りそうだなあ、って。そうしたらたまたまここの物件があって・・・」

お金がなかったので、トイレも壁も床も屋根もすべて自分と仲間たちで手を入れたという。
その仲間の大半はmixiでのつながり。
そう、この宿はソーシャルネットワークの力で誕生したのだ。

「昨年12月にオープンして、思っていた以上にお客さんには来ていただいていますが、まだ全然利益が出るような状態ではありません。なのでスタッフもみんなボランティアです。ここをつくるのも運営するのもこの仲間たちがいなかったら絶対できなかったので・・・」

若い女性や男性がスタッフとして働いているが、みんな宿泊と食事だけの保証で働いているという。
タダで働くなんてなあ、不思議だなあ・・・と思っていたら、ワレワレもみんなノーギャラでこの取材をしていることに気づいた(笑)。

やってることは違うが、みんな楽しんでいるのだな。
そして何かつくりあげよう、形にしようとしているのだな。

エアコンも友だちに頼んで安くつけてもらったという。
屋根の防水塗装も自分たちでやった。
多少のデコボコや、不細工なところはあるけれど、それも味だ(笑)。

風見荘の建物は大きい。
1階は共有スペース、2階をゲストルームにしているが、まだ3階は改装中。
これから部屋を改装していくという。

「イベントスペースにしてもいいし、客室を増やしてもいい。これだけ広いといろんな展開ができるので夢が膨らみますね。屋上もいろいろ使えると思うし・・・」

屋上へとつながる4階には家族風呂があった。
ここも窓を大きくぶち抜いたら、さぞええ眺めでいい風呂になるだろう。
うんうん、確かに夢が膨らむ。
楽しいぞ。

屋上に出て、丸井さんもいっしょに記念撮影。
ここでビアガーデンなどもやろうという計画があるらしい。
その話を聞いてサルシカ隊の面々は「おおおおおおお」とどよめく。
写真師などは「ワレワレも津市でゲストハウスをやろう、ボロい宿を探そう」などと言っている。
うんうん、夢が膨らむぞ。
止まらんぞ(笑)。

あ、そうだ、これは銭湯企画なのであった。
まだ出発地点の伊勢市駅から徒歩2分なのであった。
いかんいかん。
しかもお昼が近くなってお腹がすいてきた。

「さあ、出かけようではないか!」

「また後で帰ってくるからね!」と丸井さんに言い残し、ワレワレは風見荘を出立するのであった。
今回の銭湯企画は冒頭から脱線なのだ。

次回につづく。

伊勢のゲストハウス 風見荘
〒516-0073 三重県伊勢市吹上1-6-36
TEL:0596-64-8565
http://ise-guesthouse.com/