美里村に文化の拠点を作りたい。会長の若林さんのそんな想いから美里龍神太鼓は誕生しました。平成9年、自らも太鼓演奏に携わっていた若林さんは、穴倉地区の土地を切り拓き太鼓の練習道場を建設、地域の農業後継者仲間に呼びかけて活動を始めました。当初のメンバーは7名で未経験者ばかりでしたが、津・高虎太鼓の演奏者の指導を受けて練習に励み、平成12年に商工会のフェスティバルで初めて演奏を行いました。その後、美里町の夏まつりや中学校の落成式など演奏の機会が増え、平成18年に津市に合併してからは津まつりへの参加が始まりました。『騎馬』や『郷愁』などオリジナルの曲も創作し、現在県内外で幅広い活躍をしています。
結成当時は太鼓の数も少なく、孟宗竹を太鼓に見立てて練習をしていたこともありますが、今では大小合わせて50基もの太鼓が揃っています。二十数名に増えた会員の中には白子や松阪から練習に通う人もいます。練習は週二日、日曜日と水曜日の夜に行われています。練習場の美里龍神太鼓道場は、県内唯一の太鼓専用の練習道場です。集落から離れた里山に建ち、気がねなく大きな音が出せることから、他の太鼓グループの練習場としても活用されています。
演奏活動の他に、和太鼓を通して子どもたちが心身を鍛え豊かな創造力を身に付けていくための指導を行っています。美里龍神太鼓には小学生を対象とした教室『龍童太鼓』があり、青少年健全育成大会や福祉交流会など様々なステージで演奏を行っています。
練習道場の舞台には『和』の文字を印した幕が掛けられています。美里龍神太鼓のモットーは人の和、絆を大切にすること。そのため毎年5月には会員の家族をはじめ、賛助会員や地域の人たちを招いて謝恩懇親会を開催しています。感謝の意を込めて太鼓の演奏を行った後、バーベキューなどを楽しみます。平成13年には練習道場で宮城県の太鼓グループとの交流会をも開かれ、絆の輪は大きく広がっています。
「太鼓が大好きで練習が楽しみ。始めた頃は自分の楽しみのために叩いていたけれど、ステージを重ねるうちに、聴いてもらう人たちにも楽しんでもらえ、元気づけられる演奏がしたいと思うようになりました」とおっしゃるメンバーのみなさんは、より人々に感動を届けられる演奏を目指して練習に励みます。静かな里山に勇壮な太鼓の音が響き渡ります。