「ついにサルシカ畑もやっちゃうのだ!」第275回サルシカ隊がいく

投稿日: 2014年09月30日(火)09:51

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草ぼうぼうで荒れ放題の休耕地、耕作放棄地は、目にしただけでも活力が失われていく感じだし、地域の治安などからの視点からも大きな問題である。
で、われわれサルシカ隊は、おととしから米づくりをはじめ、少しずつその面積を広げてきた。
そしてついに畑である。

そう、サルシカ隊は畑もやっちゃうのだ!!

実はサルシカはこの9月から地域の農業支援が出来る人材を育てるための事業をスタートさせ、2人のスタッフを雇用した。
まずは農業のイロハを地域の方々に先生になってもらって教えてもらい、基礎を学んだところで今度は地域を代表して新しい作物づくりや加工にチャレンジし、地域に浸透させていこう・・・というプランである。

農業。
と一言でいっても、田んぼもあれば畑もある。
畑なんていったら、もう無数の農作物がある。
1年やそこいらでとても学べるものではないのだ。

まあ、出来るところから少しずつやっていこうぜ、というつもりであった。

しかし。
農作物を育てるには季節というものがある。
9月にスタートしてみればいきなり稲刈りラッシュで、2人のスタッフはそれこそ稲わらにもみくちゃにされ、あっという間に数週間が過ぎ去ってしまった。
ここらへんで一度ゆっくりと方向性を検討し・・・なんて思っていたら、

「もう冬野菜を植えやんと間に合わんぞ〜、そら急げ、そら急げ!」

と、地域のみなさんに尻を叩かれる。

確かにね。
いま植えるものを植えておかないと、冬のあいだにすることがないもんね。
しかし季節に追われ、天候に振り回される事業は大変だ。
予定なんぞまったく立たないのだ。

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さて畑である。
秘密基地のある三重県津市美里町平木の最上部。
まことに見晴らしのよい一等地である。
なんたってすぐ横に小川が流れている。
水の心配をしなくていいのだ。

ここは数年前から休耕していて、草だけは刈られていたようである。
サルシカが事業をスタートさせるにあたって、まず無理がない場所を・・・と、地域の人が探してくれた畑である。

最初に案内をしてもらったとき、その景観と条件にのよさに「おおおおお〜!」と声をあげた。
が、思わぬ落とし穴があることをその時はまったく気づかなかったのだ。

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さて。
農業は草刈りからはじまり草刈りで終わる。
基本の基本であるが、これが1番大変なことでもある。

2人の研修スタッフも実はこれが1番辛いようである。
が、畑をやる以上は刈らねばならぬ。

「耕うん機で耕したるで、まずはちゃっちゃっと草を刈っとけよ。
 先に田んぼを耕してくるで、2時間ぐらいしたら戻るで」

担当のI先生(地域のお父さんね)は、2人の研修スタッフにそう言い残し、耕うん機で走り去っていく。
2人のスタッフはすでに顔を見合わせて「困ったな・・・」という表情なのである。
とても2時間でこの敷地の草を刈る自信がないのである。

しかしやらねばならぬのだ(笑)。

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「なんじゃあ、まだやっとんのか〜」
「おいおいおい、まだか〜」

I先生は田んぼを1枚起こすたびに畑に帰ってきて、ヨレヨレと草を狩りつづける2人をみて呆れつつまた戻っていく。
それを3回ほど繰り返して、

「おまえらを待っとったら日が暮れる〜、どれ貸してみ〜」

と、一瞬で草を刈ってしまうのである。
そして耕うん機を畑に入れ、ドガガガガガガと一気に耕してしまうのだ。

お父さんに教わるのはむずかしい(笑)。

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日を改めて。
小さな耕うん機でさらに耕す。
休耕していたので土が固まっている。
それを細かく砕くのだ。

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毎日、講師の先生は決まっているのだが、なぜかいろんな人がやってくる。
そして、2人の研修生がのろのろやっていると、すべての作業をやっつけてしまう。
ヘルプとして考えると非常にありがたいが、「そうじゃないのよ、お父ちゃん!」って感じなのだ(笑)。
が、わきあいあいと楽しい時間である。
なんだかんだ言いつつ2人の研修生も身体で学んでいく。

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なんと作業開始から3日で種まきにまで到達した。
農作業らしい作業にようやく楽しみを覚えはじめた2人の研修生(改めていうけど、おっさんたちね)。

「元気な芽を出せよ〜、いい子に育つんだぞ〜」

そんな声をかけつつ、土をかけ、水を撒くのであった(笑)。

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ここまで書いてきたが、「落とし穴はどこにあるのだ?」と思いはじめた方もいるであろう。
その落とし穴とは。
実は、畑の立地であった。

畑のある場所は、集落のみなさんの絶好の散歩コースであったのだ。
だから夕方になると、もうぞろぞろぞろぞろとたくさんのお父さんお母さんたちが集まりはじめる。
ついでにいうとワンコたちもワンワンと集まる(笑)。

「さあ、そろそろ道具を片付けて秘密基地へ帰ろうか」

と、準備をはじめたころに、みんなやってくる。
すると、にわか農業講習がはじまる。
これは善意でやってくれていることなので断るに断れない。
で、ヨレヨレフラフラの2人の研修おじさんは、身体にムチを打ち、再び作業をはじめなくてはならないのだ。

しかも。
おじさんたちはいうことがバラバラである。

「杭はそっちに打ったらあかん、あっちに打て!」
「ああ、違う逆だ、そっちだ!」
「誰やそんなところに打てというたアホは! はよ直せ〜」

半ば本気でケンカしているおじさんたちにはさまれた2人の研修おじさんたちは、おろおろとその間を右往左往するのだ(笑)。

ある時、2人がなかなか秘密基地へ帰ってこないので、心配になった隊長のワタクシが畑に見にいくと、まさに大変な状況であった。

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先生というかギャラリーが畑を取り囲み、2人の研修おじさんを見ては笑い、声をかけては笑い、お茶を飲んだりたばこを吸ったりしてるのだ(笑)。

「隊長〜! 地獄だよ〜、拷問だよ〜!」

うんうん、これは辛いであろう。
一挙一動のすべてがチェックされ、教育的指導を受けているのだ。
しかし、コレ以上の学びの場もあるまい。

で、隊長のワタクシはそのギャラリーの中に入り、お父さんたちといっしょに2人を見守るのであった(笑)。

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「ここの畑は山のすぐ下やで、シカが出るぞ〜。
 わんさか出るぞ〜。
 いつもこの畑に集まって遊んどったんや〜。
 ここは鹿の公園みたいなもんやでな〜」

おいおいおい。
そんなの聞いてないよ(笑)。

ま、しかし中山間地で畑をやる以上は獣害対策が必須である。
ようやく畑の種まきが終わったと思ったら、今度は柵づくりである。

しかも竹を切り出すところから(笑)。
山の農業は何でもやらねばならぬのだ。

秘密基地の真ん前の竹林から竹20本を切り出す。
所有者のおばちゃんには、「全部切って持って行ってくれ」と言われたが、20本で勘弁してもらった。

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杭を打ち、それに竹を結びつけて立て、アミをはる。
すべて廃材や自然のものを利用する。
いっさいお金はかからない。
いや、お金をかけてはいけないのだ。

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そして。
種まきから3日後。
早くも芽が出はじめた。

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植えたのは、大根2種、水菜、カブなどである。
芽が出るとやはりうれしいらしく、研修おじさんたちは毎朝水をあげに畑に通っている。

今後もときどきサルシカ畑のリポートを届けるのだ。
野菜と研修おじさんたちの成長をぜひ楽しみにしていてもらいたい(笑)。