第16回「サルシカ隊、お茶摘にいく」(まる三重レポート)・その3

投稿日: 2008年05月16日(金)15:23

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茶畑が広がる自宅&工場まえで、中村さんにお話をうかがうことにした。

しかし、何よりもやはり一服である。
お茶をいただきたいのである。

催促するまでもなく、奥さんがお茶を運んできてくれる。

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まずは美味しい緑茶のいただき方から教わる。

急須に入れるお茶は熱湯ではなく、70度から80度ぐらいのお湯が望ましい。

30秒から1分ほど煎出させて、湯飲みに注ぐ。
この時、急須にお茶を残さず、最後まで絞りきること。

で、湯飲みからお茶をいただくのであるが、この時のお茶の温度は60度ぐらいになっているという。

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では、いただきます。

うーむ。
採れたて作りたてだからであろうか、やたら香りがいい。
渋みもあるが、イヤな感じで残らず、喉越しがいい。

お茶というより、コーヒーを飲んでいるような気がする。
例えは悪いがそんな感じだ。

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これが中村さんが丹精込めてつくった「伊勢茶」の深むし煎茶である。

これまで「三重のお茶」を知らなくてゴメンね、と謝りたくなってくる(笑)。

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これまでに農林水産大臣賞、農産園芸局長賞など数々の賞を受賞

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「やっぱり急須で入れたお茶はいいでしょ」

中村さんは、私がお茶をしっかり味わうのを待っていたかのように言った。

「いまお茶の消費量は減っているわけではないんです。でもそれはペットボトルなどの茶飲料の増加のせいで、リーフ(茶葉)の消費は激減しとるんですね」

「でもお茶は、こうやってお茶っ葉を急須で入れたのが一番おいしい。せめて家にいるときは、ペットボトルじゃなくて急須でお茶を入れて飲んで欲しいですね・・・」

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中村製茶のご主人・中村治郎さん(51)は、2年前にお父さんの跡を継いでお茶の生産と加工をはじめた。

「それまではお茶の問屋に30年勤めとったんですわ。でも農繁期はずっと親父を手伝ってきたし、まあ歳をとってきて当たり前のように跡を継いだって感じですかね」

では、ずっとお茶に携わってきたということに?

「言われてみればねぇ。仕入れてお客さんに売ることから、生産して加工することまで、ひと通り経験させてもらいました」

つくることだけでなく、売ることも知っている。
これが中村さんの大きな強みであり、武器である。

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この地域のお茶のウリは何なのですか?

「深むし、ですかねぇ・・・。
加工段階の話ですけども、蒸気で蒸す時間が長く、お茶の組織を壊してまろやかな味にしているのが深むし茶なんですよ」

「ただでさえ手間のかかるお茶の生産と加工ですが、更にひと手間かけているのが、自慢といえば自慢です」

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お父さんの勇さんも現役!元気に動き回る。

「お茶の生産と加工は仕事が多いんですわ。1年中ずっと農繁期って感じでねぇ」

4月、5月はまず1番茶の刈り込み、加工。それが終わったら刈り込んだあとの木の剪定や整えと続く。
6月中旬から7月中旬は、2番茶の刈り込み。終わったらまた整え。
夏は草刈りをはじめ、作業が毎日つづく。
10月に入ると、秋番茶の刈り込み。これが終わってようやく短い農閑期があって、1月に入ると堆肥をやって、そしてまた4月の1番茶の刈り込みへとつながる・・・。

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1年に3度も刈り込み(収穫)があって、その前後に準備と後片付けに追われる。

これがお茶づくりである。

「別に慣れたから大変だとは思わへんけど・・・」
と、中村さんはいうが、お茶の生産と加工をやっているところは、年々減り続けているという。

「かつては旧飯南地域(現飯南町)だけでも800件ぐらいあったらしいんですけ、いまは松阪市全体でもそれぐらいあるかどうか・・・」

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「ま、この先、我われの業界だけで言うたら、明るい未来が開けてるってことはないわなぁ(笑)」

しかし・・・と、中村さんは真剣な顔でいう。

「まだ今んところ食うに困る状況ではない。
だからこそ今のうちに、やれることをやっとかなアカンと思ってます」

具体的には何でしょう?

「まず小売をやっていきたい。
インターネットを使って自分達で直接お客さんに売っていきたい。
そのためには、他にはない商品としてのお茶をつくらなんとアカンと思ってます。
そして、もっともっと伊勢茶のことを全国の人に知ってもらわなアカンと・・・」

中村さんはお茶を通して地域、家族、そして自分の未来を考えている。
後継者のことをどう考えているのでしょうか?

「まあ、それが一番困った問題でねぇ。
実はウチは娘ばかりの3人姉妹なんですわぁ。どーしましょうかねぇ。ひとりぐらい継いでくれるかなぁ」

中村さんは豪快に笑った。

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中村製茶では、可能な限り小売もしてくれます。
100gで税込み550円。
送料等についてはお電話にてお問い合わせください。

中村製茶
〒515-1411
三重県松阪市飯南町粥見1998
Tel&Fax 0598-32-4462

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取材を終えて・・・・

はじめて茶摘体験をさせていただき、加工工場をみせていただき、そしておいしいお茶をいただきました。
三重にこんなおいしいお茶があったなんて、それを全然知らなかったなんて、なんともったいない!
帰り際、中村さんにお茶のお土産をいただきました。
フォトグラファー加納はそれでは足りないと思ったのか、「深むし煎茶」を1キロも買ってました。
中村さん、取材およびお土産、ありがとうございました!
いただいたお茶は、家族でおいしくいただいております。    (隊長)

関連リンク:伊勢茶ネット
関連リンク:フォトグラファー準のブログから「星空の下の茶畑」