「秋のめぐみ収穫隊!」第139回サルシカ隊がいく

投稿日: 2011年10月25日(火)13:33

「そろそろ隊長、アレいきましょか?」

もはや説明の必要がないであろう、行きつけの割烹やまきのカウンターで、
土瓶蒸しの注ぎ口から突き出た三つ葉の茎をほじほじしていると、大将のやまちゃんが話しかけてきたのである。

アレとはアレである。
実はやまちゃんはマツタケとりの達人なのである。
その昔、1日で数百本を採ったこともあるという、冗談みたいな達人なのだ。

で、昨年、やまちゃんといっしょに山に入り、さまざまなキノコをどっさり、
そしてマツタケを2本、しっかとゲットしたのである!!

「最近M子さんさあ、サルシカで『めぐみごはん』ってはじめたけど、やっぱり秋の味覚の王様をとらなアカンでしょ」

と、笑うのである。
M子の『めぐみごはん』にマツタケ!!
おおおおお、サルシカも立派になったもんだ!

よし、行こう、ということで、伊賀の『るみ子の酒』をおかわりし、どんなマツタケ料理をつくるかで大いに盛り上がったのである。

そして10月中旬のある朝。
まだ夜が空けて間もない6時半まえ。
大将のやまちゃんと隊長のワタクシは、伊賀市のとある山にいた。

あれほど「マツタケ!マツタケ!」と盛り上がっていた妻M子の姿はない。
「そこんところは男同士で頼む!」ということで、まだ温かい布団の中の人である。

つまり、
大将やまちゃんとワタクシは、妻M子の『めぐみごはん』のために山に入るのである。
おいしいところは企画的にも味的にもすべてM子に持っていかれるのである。

「なめとんのかあ、オラァア!」

と、叫んでみるが、それは悲しく夜明けの空に吸い込まれていくだけなのであった。

昨夜までかなりの雨が降っていたので、足元はぐちょぐちょ。
かき分ける枝葉が濡れているので、腕や肩がどす黒く湿る。

今回のターゲットは、
マツタケとさまざまなキノコ、そして秋の味覚もろもろである。

「どーんとM子さんに持って帰ったりましょ」

と、やまちゃん。
心強いのだ。

が、なかなかきのこは見つからない。
10月中旬になっても気温が落ちないせいであろうか。
ちょっと不安になってくる。

しばらく歩いて、ようやく「すどうし」発見。
「すどうし」とはアミタケのことであり、ワタクシでも見分けることができる数少ないきのこの1つである。
少しヌメリがあって、おひたしや吸い物にするとおいしい。

ぽつりぽつり見つけるものの、昨年に比べると圧倒的に数が少ない。
山が荒れてきたせいで、きのこは本当に減ってきているそうだ。
悲しいことだ。

そんな時、やまちゃんが「よし、あった!」と声を出す。
「え、あったんですか」とワタクシ。
「あったよ」とやまちゃん。「写真撮るか、隊長?」
「撮る撮る、で、どこ?」
「そこ」
「どこお?」
「そこお!」

これは限りなくリアルなやりとりである。
落ち葉の衣をまとったマツタケさんは、まわりと完全に同化していてなかなか見分けがつかない。
それを歩きながら見つけるなんて、やまちゃんの目は少しばかりおかしいに違いない(笑)。

やまちゃんに松の枝を払ってもらってようやく発見、
そして写真撮影に成功したマツタケ。

小学生のポコチンぐらい。
それが1個に、もう少し小さいのが2個あった。

小さいが、採ってみると、あたり一面にマツタケの香りが広がる。
すさまじい香りのパワーである。

「ま、小さいけど、とりあえずは採れたでな。いやあ、ホッとした」

でも出来れば、もう少し大きいのが欲しい・・・というわけで、ひとつ目の山を離れ、続いての山へと向かう。

2つ目の山も、やまちゃんがずっと通い詰めるところである。
勝手知ったるとはこのこと。
藪の中を歩こうが、木々の間を抜けようが、自分のいる位置がわかるらしい。

去年はこの山でクリタケを山ほど採ったのだ。

「去年はこのあたりにクリタケがいっぱいなっとったんやけど・・・ないなあ」
やまちゃんは斜面を滑るように下りながら、あたりを見ていく。
そして・・・「お、あったあった。こんなところにおりよった」。

クリタケの群生。
こいつは少しずつ位置を変えて群生するらしい。
昨年あった場所の周囲を探せばいいのだ。

群生は楽チンでいい。
どんどん採れる。
クリタケは歯ざわりを楽しむきのこである。
すき焼きにいれるとうまい。

が、全体的にもろいきのこなので、乱暴に扱うとすぐに壊れてしまう。
慎重に慎重にスーパーのビニール袋へと入れていく。
すぐさま袋はいっぱいになった。

そしてワタクシがクリタケを採るのに夢中になっていると、
やまちゃんが再び見つけた!

「今度は大きいし、わかりやすいところにあるで。ほらそこ」
「どこ?」
「そこ!」
「どこぉ!?」

素人の目には本当にわからんのだ。
写真に写っているのが、みなさんにはわかるであろうか。

まだ見えない、というみなさんのために、
枝葉を払ってご開帳!!!

立派です!!

出ました!!
やまちゃんの「どや顔」です!(笑)

それにしてもデカイ!!
長さ20センチはある!

ワタクシのより(笑)、間違いなく立派だ!

「これはビックリやわ~、こんな見えやすいところにこんな大きいのがあるなんてなあ!」

さすがのやまちゃんも驚いていた。
最近、あまりにきのこが採れないので山に入る人も激減しているらしい。
だからこんなラッキーなこともあるのであろう。

すぐそばにもう1本マツタケがあったが、誰かに踏まれて潰れていた。
たぶん・・・いや、間違いなく、ワタクシが踏んだのであろう。
悲しい。
が、それもしっかり採って帰る(笑)。

6時30分に山に入って3時間が経とうとしていた。
全身ドロドロ。
足も棒のようだ。

というわけで、
やまちゃんお手製のお弁当!!
昨夜、店の営業を終えてからつくってくれたそうだ。
高菜で包んだごはんが果てしなくうまい!

山の中で静かに食べたかったが、
下が濡れているので道路脇で食べる。

が、通りすぎる車はまったくいない。

こんなに楽しく遊ばせてもらって、しかもおいしいものがゲット出来るなんて、
山サイコー!!
田舎暮らしバンザイ!!
なのだ(笑)。

メシを食ったらもうひと働きなのだ。
津の方へ戻る道中で、自然薯のツルを発見し、芋掘り!!(笑)

果てしなく太いツルで、果てしなく巨大な自然薯が出てきたのであった。

しかもそのツルにはムカゴが鈴なり!
やまちゃんが車に常備している傘を逆に開き、ツルを無闇に引っ張ると、ボタボタとムカゴが落ちてくる落ちてくる。
ついでにワタクシの頭の上にも落ちてくる。
わずか15秒で収穫終了なのだ。

で、今回の全収穫は・・・・・こちら!!

マツタケ大小5本。
すどうし、いっぱい。
クリタケ、いっぱい。
自然薯、巨大なの1つ。
ムカゴ、いっぱい。

すんばらしい秋のめぐみなのだ!!

しかも!!
「今回は全部隊長とM子さんにプレゼントやから!」
と、やまちゃんは爽やかに笑い、スズキの軽ワゴンに乗ってさっそうと去っていったのだ。

「ありがとう、やまちゃーーーん!!」

が、M子が見ていたのは、走り去る軽ワゴンの後ろ姿ではなく、
これだった(笑)

これらの食材を使った「めぐみごはん」はこちら!!
セットで読んで楽しんださいませ!!

めぐみごはん第9回『イヤッホォォ!天然ものの松茸とクリタケと自然薯祭り!』